2017年8月20日日曜日

作家もこそっと書くブログ9 トラウマ克服劇団がゆく。

上田です。
西垣さんと僕で、なんとなく週替わりで、
KBSとtvkでの放送のことを、交互に書いていきますね。

今週はtvkのこと。
先ほど放送されたのは、「トラウマ克服劇団の旅」でした。


KBSでは、去年のちょうど今ごろに放送された回。

京都の演劇人たちから過去のトラウマ体験談を聞きだし、
それの「裏ストーリー」を演じることで、傷を癒してあげる。
そんな「トラウマ克服劇団」が、4つのトラウマに挑む、という旅。


思わぬハートウォーミングな瞬間が見れた、というのが、
この旅の拾いものでした。
演劇の力とはすごいものだな、と。
ひとときでも、虚構が現実を塗り替えることってあるんですよね。

暗い旅は、「ドキュメンタリーバラエティ」でして。
けど、せっかく僕ら演劇人がやる番組ですから、
演劇人にしかできない要素を、できることなら入れたいな、と。
そう思いながら、旅を続けていて。

たとえばコント回がそうなんですが。
この「トラウマ克服劇団の旅」も、また別の、ひとつの答えだなと。

割とこれ、緊張する企画なんです。
脚本力や演技力が、まあまあ野に晒されるという。
言ったら一応、本業ですからね。
冗談っぽくやってますけど、けっこう一同、本気は出していて。


これが本気か、というむきもありましょうが。


本公演でも、似たようなことをやっています。

特にまあ、「トラウマ克服劇団」は、
人の実際のトラウマを相手取るわけですから、
思いがけず、作劇の強度が要求されますし。

いい劇を見せれば、ゲストもいい顔をしてくれる。
そうでもない劇だと、ゲストの顔はやっぱり晴れない。


最後の九鬼そねみさんへの上演では、
軽くふざけにかかったら、案外シリアスなトラウマだったようで、
これは舐めてかかっちゃいけないな、と、背筋が伸びたものでした。
根深いやつは、くそSFでは癒し得ないのだと。

そんなわけで、これは大変、面白い旅です。
いや、人のトラウマを面白がっちゃあいけませんけど。
言ってみれば、現実が勝つか、物語が勝つかの、真剣勝負で。
一瞬でも、劇が涙拭くハンカチになれれば、素敵じゃありませんか。


本多くんは、ふざけているようにも見えますけど。
理不尽な現実と、演劇で果敢に戦う男の姿です。

もっとやりたいですね。
第2回はわりとすぐにやりましたけど。
3回、4回と続けていけたらと。

もっと強めのトラウマにも出会いたいですし(怖いけど)、
長編だって作ってみたい。劇場で公演をするとか。
劇団員ももっと増やしてきたいですね。
かつてトラウマを克服した人が、こんどは劇団側に回るとか。
逆に、重いトラウマに取り込まれて、闇落ちするやつもいたりして。

夢は広がる、トラウマ克服劇団。
トラウマをお持ちの演劇人の方、お、お待ちしております。

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