2017年2月7日火曜日

作家もこそっと書くブログ2 AラインとBライン

上田です。西垣さんの記事にもある通り、次回は「ホイロ」で番組を1本やろうとしてます。今日は打ち合わせだったので、甲斐くんの追い上げを楽しみにしていたら、甲斐くんは「腹痛でお休み」でした。あとはホイロを使ったカイジみたいなデスゲームをやろうとして、しばらく考えて結局思いつかなかったり。「ホイジ」というタイトルまで思いついたのに。ホイロ企画、苦戦してます。作家チームの力が試される旅になりそうです。

そんな風に、暗い旅は、出演者が「まだ見ぬ面白さを探す旅」であると同時に、ディレクターや作家たちが未開の薮を漕ぎわける旅番組でもあります。次回ですと「ホイロ」になにか面白さが埋まってるんじゃないか、という。そしていまいち埋まってないときは苦戦するという。

前回放送になったのは「大歳倫弘の20のショックの旅」でした。今週末にも放送しますので、未見の方はぜひ。


これは僕ら暗い旅チームでなく、大歳さんが大変だった旅。ヨーロッパ企画イエティの作家であり、暗い旅では出演者の大歳さんが「ショックな情報を20個教えてくれる」という、丸投げも丸投げの旅です。すべては大歳さんの肩にかかっていて、大歳さんにとっては重いそりを引きずって旅に出る、ような。


このそりを大歳さんは見事、引きこなしてくれまして、僕らは暗い旅チームはそれに乗っていただけでした。職務怠慢のようですけど、こういう旅ってたまにあります。「クイズ!黒木」とか、「サカイアローン」とか。人の名前が冠された旅はそうですね。最近だと「居心地のいい喫茶店があるらしい旅」もそうです。あれは全編、永野さんがコーディネートした旅。


これが、企画を受けたときの大歳さん。「ボールを持ってくれた!」という瞬間です。打ち合わせの途中でもう、20個のショックを考えはじめた。

こうなってくれるとしめたもので、僕ら暗い旅チームは、しずしずと後方支援に回ります。大歳さんのセコンドについて、ショックを20個ひねりだす手伝いをする。そして秘かに、もう一つの「Bライン」に対して身構える。

さて「Bライン」とは何か。これを赤裸々に語りますと、たとえば暗い旅って、あるメインの企画が走っていたとして、でもそこからこぼれたハプニングの方が、むしろ面白かったりすることってあるんです。

例えば「不思議バインダー2の旅」なら、「不思議なエピソードを喋りあう」っていうのがAラインなんですが、いざ本番をやってみると、木下さんが変な言動をしたり、石田くんの話がちっとも不思議じゃなかったり。そういう「本筋から外れた面白さ」が、つまりBラインですね。

で、暗い旅はこの「Bライン」が大好物で。本筋と関係ないハプニングをこそ、編集ではたっぷり使おう、っていう謎の編集方針があります。まあ「旅」なので、旅って寄り道のほうが、かえって面白かったり印象深かったりするじゃないですか。

なので僕らは、Aラインを準備しながらも、同時に「Bラインを心待ちにして身構える」ようにして本番に臨みます。「大歳倫弘の20のショック」なら、大歳さんがアップアップするんじゃないか、とか。20個もショックを立て続けに紹介しているうちに、誰かが体に変調をきたすんじゃないか、とか。そういうのってやっぱり、旅の醍醐味なので。

でもここで奥深いなと思うのは、「Bは、狙って撮れるものじゃない」のですよね。初めからハプニングを起こそう起こそうとしても、それってなんだか白けてしまうばかりで。それよりは、Aラインを周到に準備して、演者もAラインを目いっぱい愉しんで、っていうことの果てに、Bラインが虹のように生まれる、なんかそんな感じなんですBラインっていうのは。


これは「大歳倫弘の20のショックの旅」で、Bラインが生まれた瞬間。どこが虹だって感じですね。まあけどこんなのは狙ってやれることじゃないです。旅の途中の悪ふざけですから。

編集ではいつも、Aラインはそこそこに、Bラインをこそたっぷり使う風潮が、先ほども書きましたがあります。けど今回の「大歳倫弘の20のショックの旅」に関しては、大歳さんのツアコンぶりがふるっていたので、割と脱線せずに、20のショックに沿って編集していきました。それでも20個は入りきりませんでしたが。大歳さんが薮の奥へといざなってくれます、ご堪能ください。

で、とはいえ上記のふざけあいも勿体なかったので、今回はそこを「もっと暗い旅」で観ていただけるようにしました。「もっと暗い旅」というのは、最近Youtubeで始めた、未放送部分を動画で公開してしまおうという試みです。


どうぞお愉しみください。ヘビーな旅の途中にふと生まれたBラインですが、大歳さんも笑っているので、この寄り道はみんなにとっていい思い出になったと思います。永野さんを除いては。

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