2017年10月30日月曜日

作家もこそっと書くブログ12 トラウマ克服劇団、戯曲公開。

上田です。
tvkさんでは、「トラウマ克服劇団2」でした。



いい旅でしたよね。
かなり私、気に入っていまして。
我がことながら、トラウマ克服劇団の文芸部、俳優部ともに
伸び盛りの時期を迎えているなあ、と感じてます。

トラウマ克服劇団への思いや野望は、
作家もこそっと書くブログ9 トラウマ克服劇団がゆく。
にも書きました。「1」のときの記事ですね。

「2」では、我々(西垣・甲斐・上田)文芸部としては、
さらなるドラマの練度を目指して、4本のシナリオを作りました。
どれも気に入っていまして。
ここではそのセルフライナーノーツを書こうと思います。
あの、アップが遅れたお詫びもかねまして、
せっかくのなので、台本も掲載しつつ、長めに。


■第5回公演「ダニ呼ばわり」


ダニエルのトラウマとなっているあだ名「ダニ」を、
副助詞「だに」と捉え直した、言葉遊びが光る1本ですね。
とはいえ、調べてみると、「だに」の用法って、そんなになくって。
ほんとに、「微動だに」「予想だに」「想像だに」くらい。
「今だに」という使い方は、グレーらしく。
なのでそのあたりの言葉を総動員して書き上げた、という。
稽古時間の少なさをカバーするために、
A→B→Cと、分かりやすくセリフの順番を振り分けてある
というのもさりげないポイントです。
これがA→B→A→C→B→C→A…とかなると地獄でして。


■第6回公演「ロンドンの災難」


木下さんは、その後劇団四季に入る、
というキャリアを持つ方ですが、そこへ繋げた作品。
ロンドン留学中の出来事ですが、
一言目でロンドンと分かる、かつロンドンの風土も分かる、
優れた出だしと言えましょう。
木下さんちゃんと言ってなかったですけど。
劇中では「劇団四季」と言ってない、のもポイントですね。
もちろんそんな試験ありませんから。
先輩劇団に畏れをなしたのもあり、ぼやかした、という。


■第7回公演「口すっぱい客」


西垣さんの名作。タイトルも気が利いていますね。
原作をそこそこちゃんと読んでるな、という上質なパロディです。
「土佐岡」のカットインからの暴言感が、理不尽ですごくいいし、
「酒田」の、たしなめてるように見えて、土佐岡側にきっちり
付いている感じも、原作ファンにはうれしいところです。
珈琲のうんちくには、ふつうにへえ、と思いました。
お得感ありますね。
そして、役者もこれは好演でした。
土佐岡は大向こうをうならせる名演技だったし、
酒田のかわいさも、京極本太郎の老獪さもよかった。
終わったあとのホクホク感が画面に現れていたかと思います。
今のところ、トラウマ克服劇団の代表作ですね。


■第8回公演「神様、4カ月だけ」


満腹さんの、高校生の頃のバイク事故と、
最近のフラれ話という、2つのトラウマを繋げた、
トリッキーな趣向の大作ですね。
「私は存在しない」というナレーションが、
僕すごい好きで、非常に劇的です。
「満腹さんの、満腹中枢!」という台詞も、ヘンですね。
「ゆう子」役には、誰がいいだろうと考えた末、
ひゃんちゃんにお願いしたんですけど、
ひゃんちゃんが関西弁で演じてくれたのも、なんかよかったです。
妙な実在感が醸せたなあ、という。

…といった4本でした。
トラウマ克服劇団は、作家チームでまず
設定を会議で揉んだのち、それをめいめい持ち帰って書き、
それをまたお互いで修正しあって、というふうに
合作でつくっていくんですけど、その感じも好きです。
普通にこれ、脚本の勉強にもなってますね。

長いやつとか、今後やってみたいなあ。
トラウマ克服劇団文芸部、募集中です。

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