2017年12月10日日曜日

作家もこそっと書くブログ15 実験の夜、発見の朝

上田です。
tvkさんでは、#2「絶版ゲーム発掘の旅」が。
KBSさんでは、#164「知らんヤツが闇鍋パーティに来る旅」が。
それぞれ再放送されました。

どっちも諏訪さんがゲストですね。
こういうパーティ企画が似合うので、ついお呼び立てしちゃいます。


経年変化はどうでしょうか。


まあ、ねえ、という感じの変化ですね。
(茶髪なのは、本公演「出てこようとしてるトロンプルイユ」です)

さて、「知らんヤツが闇鍋パーティに来る旅」は、
文字通り、暗い中でやっている闇鍋に、
「知らんヤツら」が続々とやってくる、というもので。
放送時間のほとんどが真っ暗、という、
そりゃ暗い旅とは聞いてたけどさあ、というような回でした。


画面の情報はほとんどテロップのみ!
あとは青い炎、という潔さ。

この、しゃべってる人の顔が明滅するテロップは、
以前「盛り上がる闇鍋パーティーの旅」で、編み出したものですね。
なかなかいい発明だったな、と自負してはいるんですけど、
今回は人数が最大で11人なので、編集は地獄だったようです。

以下、鍋ちゃんのツイートより。


これは地獄だ!
鍋ちゃん、撮影中からずっとイラついてたもんなあ。
「闇の中で知らん11人のクロストークはやばいっす」と。
闇の中でも、編集を想像してのイライラが西垣に伝わったそうな。

まあそんな苦労を経て(鍋ちゃんが)、無事放送に至った旅ですけど。
こういう回、僕は好きだし、暗い旅ならではだなあ、と思います。
放送困難な企画なので、編集の手法から編み出さなくてはいけない、
というような旅。

逆に言うと、新しい編集の仕方を思いつけば、
今までテレビでやれなかった面白さも、お届けできる、という。
夜郎自大に言えば、そういうことでして。

ちょっと前にやった、
#149「東西2画面ミッションの旅」も、そうでした。


こんな風に、京都と東京で同時に進行する、という規格外の旅。
こんなの成立するんかなあ、なんて言いながら、
ディレクター2人が東西に分かれ、電話でのみ連絡を取りあって、
呼吸よ合っていろ、と祈るように撮影しました。

あわせてみると、「まあまあ」で。

そこで編集の工夫です。
なるべく面白味が増えるように、以下のような共有資料を作って、
①②③どれがいいのか、意見を投げ合ってみたり。

この資料、やる気入ってますね。時間あったんですかね。

こういうことを好んでやるようになったのも、
僕らのテレビの先生であります、藤村・嬉野両氏が、
あの金字塔的番組「水曜どうでしょう」を作る過程で、
テロップの出しかたから、カメラの画角の切り方から、
なにからなにまで、すべて自分たちで試行錯誤したのちに、
じわじわと発見を積み重ねて、あのスタイルに至った、という。

その胸熱な話を聞いて、「僕らもそれをしなくては!」と開眼して。
以来、企画のみならず、撮り方や編集の仕方も、
色々試して、うまくいったやり方は生かしながら、今に至ってます。
成長遅いですけども。ガラパゴスっぽくは、なってきているなと。

そんなふうな、実験と失敗を繰り返すには、まずもって
「ヘンテコな回が、うっかり出来てしまっても、物怖じなく放送する」
という、放送局さんの雄大な気構えがなくしては立ちゆきません。

「こんなんじゃ放送できない!」とか、
「そんな危なげな企画はダメだ!」なんて言われたら、ムリですし。
そんで普通は、言われますからね。
KBSさんの緩やかさ、tvkさんの奇特さには、感謝するばかりです。

#2「絶版ゲーム発掘の旅」にしたって、
終盤の、怪物くんの「とりとりピッタン」で笑うシーンを、
異様なほどに長く、使っていまして。
これは、僕らが初期に唱えだした「肉と骨」という
無手勝流の編集方法を、初めて試したものです。

以来、このやり方が結構気に入っていて、
暗い旅では、「ここはジューシーな肉の部位だ」と判断した素材は、
「異常にたっぷりと」そのカットを使う、という風土ができました。

などと得意げに書いてますが、注意したいのは、
世の中でスタンダードになっていることって、
大体まあ、そうなっている「必然の理由」があって。

今のテレビなんて、まさにそういう
「進化の霊長」と言えますから。

そこに一石を投じるべく、実験してみて、うまく行くこともあるけど、
「ああ、だからこれ、みんなやらなかったのか」という
苦い納得が、得られてしまうことも多いです。

失敗しがち、ということですね。


そんな中で、果敢なチャレンジだった割に、うまくいったぞ、
という旅の2つが「盛り上がる闇鍋パーティの旅」と
「知らんヤツがパーティにくる旅」で。

これらをさらに掛けあわせてみたのが、
「知らんヤツが闇鍋パーティにくる旅」なのでした。
どうですかね、ミュータント感ありましたでしょうか。
それとも、淘汰されてしまうのか。

見たことない生命体を、いつか作り上げたいものです。
そんな、フランケンシュタイン博士の気持ちです。

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